タートル Turtle

《ルーブ・ゴールドバーグ・マシーン》とは、1910年年代にルーブ・ゴールドバーグが描いた図像群の名称である。人間の簡単な日常動作を遠回りに代わりに実行する機構が図示されている。急速に発達していく産業革命を背景に描かれ、新聞などに掲載されたこれらの図は、風刺画として社会的に機能していたと考えられるだろう。人間社会はその後、さまざまなシステムを発見し、模倣し、操作しようと試みてきた。この身体を動かす新陳代謝、生態系、言語系。私たちの生を取り囲む、社会制度、会社の組織、上下水道や鉄道などのインフラ、金融取引、複数のコンピュータを繋ぐインターネット…。当時からおおよそ100年経過した現代において、現代社会を突き動かしているシステムはより発達し、抽象的に働くようになっている。国家の間で、資本主義と自然環境を跨ぐ「CO2削減」問題が議論される。巨大な投資の失敗という抽象的な計算システム上の出来事によって、住人が誰もいない高層建築物が乱立するゴーストタウンが出来上がるという物理レベルの「事故」が起きうる。そのような不可視なシステム（に埋め込まれた人間）の不気味さに触れている私たちにとって、100年前の《ルーブ・ゴールドバーグ・マシーン》を見ることは、そのような社会的なシステムを、私たちが把握できる形で具象的に見返すことにほかならない。《ルーブ・ゴールドバーグ・マシーン》を、現代社会の複雑な様態を切り取るための、「物差し」として機能させることができるはずである。

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10.1 迎英里子「実践」
10.15 「ダーティーなGUI」 小林健太×水野勝仁（司会：飯岡陸）
10.16 「空間と記述」山本浩貴 + h ×大岩雄典によるパフォーマンス
10.22「ルーブ・ゴールドバーグ・マシーンの射程」石岡良治×飯岡陸